トップページ < 酸蝕賞による崩壊の治療例
「酸蝕症」は割合身近な病気です。
さて、内容は・・・。
この方の歯の色を見てください。
確かに暗い色に写っていますけれど、実際にも歯の色は濃くなっていて、それに下の前歯がなんだか上の歯と当たる部分で角が溶けて丸く見えませんか?
これが酸蝕症の患者さんです。40歳代の女性でした。
いわゆる、逆流性食道炎を長期間患っていました。
「前歯を治したい」とのことでしたが、お口の中のエナメル質が随分ダメージを受けていて上下の前歯が、ほとんど当たっていない状態でした。
顎の具合や咬み合わせを咬合診断機器やレントゲン規格写真から検査してから
例によって合成樹脂で咬み合わせを変えて、調子をみています。
酸による、歯牙の溶解は皆さんが考えているよりもずっと頻度が多いものです。
当院だけでもこのもう一人、同じような酸蝕症の患者さんを、治療しました。
その方の術前は、もっと歯牙が溶解していました。
最近の患者さんは、歯に金属のクラウン(冠)をかぶせても喜んでは貰えません。
健康保険の範囲内で、プロビジョナルといわれる術後を想定した仮クラウンを装着して一定期間の経過観察は無理です。
作った補綴物は、一発勝負。口腔内全体をやり直すには、過酷な条件です。小臼歯は、合成樹脂のクラウンです。咬む力で磨り減ります。
この患者さんは、これで動的治療は一段落です。
動的治療終了からがメインテナンス(静的治療)の始まりなのです。
メインテナンスなしで長期に保つことが出来る患者さんなら、ここまで咬合が壊れてきません。
患者さんには、メインテナンスの重要性を言っているつもりなのですが、なかなか判ってくれない人がいます。
この患者さんは、治療後2~3年お顔を見ませんでした。
そして、再来院した時には、歯周が赤く腫れて痛みを訴えました・・・
一般的に、歯科医は自分の歯を削る治療が、もう元には戻らない治療であることを理解してやっています。
いちいち、恐がらせないために「ちょっと削りますね。」・・・と軽く言っているだけで削っている手は真剣そのものです。
「必要最低限の侵襲で最大の治療効果」を目指すのです。
大きな処置をした患者さんの来院が中断しても、なかなかこちらから呼び立てるわけにはいきません。
実感では、自費で結構な金額をいただいた患者さんの方がずっと、真面目にメインテナンスに通っていただけますし、キレイに自己管理していただいています。
最近、自費治療を説明することに以前より抵抗がなくなりました。
なぜなら、説明責任義務違反という罪になるから・・・。
自費の説明を含めて、「医師は治療に関してそれぞれのメリット・デメリット等について十分説明する義務がある。」という説明責任を果たす必要があるのです。
秦泉寺歯科医院 〒780-0021 高知市中秦泉寺45-2F / TEL. 088-825-2888
© 2010 Jinzenji-Detntal Clinic