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咬合崩壊は、何も不自由と感じない時期から静かに始まっているのです・・・。
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←は右の下顎頭の |
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いや、正確には乳歯の先天性欠如が、2本あったために咬み合わせに無理がかかり
子供の頃から十分に咬み合わせの高さが成長出来なかったために、下顎が前に成長できず、結局、後ろに押し込まれて成長したためこんな形になっているのです。
わずか16歳でこの状態だと中年以降に大変な思いをするかも知れません。
すでに、この子の顎関節は崩壊しているのです・・・。
次に、加齢による 歯の疲労・アブフラクション( DCS ) で咬合崩壊が進んできた患者さんです。
69歳男性です。
右下の奥から3番目の歯が痛くなって急患で来院しました。歯が擦り切れて殆ど高さがなくなっています。急性の歯髄炎でした。
痛みは、神経を取れば落ち着きましたが、あと銀歯で被せる高さもありません。それどころか、このままでは次から次にほかの歯が痛んできます。
この状態は、すでに中等度の咬合崩壊状態なのです。
この歯の痛みだけとって、何かで充填して治療を終了すれば、この患者さんの右下の咬みあわせはどんどん擦り切れて 次の写真のようになっていくと思います。
他の患者さんの写真です。
左の写真では、下の歯は上の歯茎に、上の歯は下の歯茎に互い違いに食い込んでいます。
こうなるまで、患者さんは食べることに不自由を訴えません。
しかし、こうなっては長持ちする治療はもはや出来ないのです。
治療後の写真です。
数年間経つ現在も、なんとか不自由なく食べています。
しかし、奥歯が義歯ですから咬む力を支えられずに上の前歯は、弱ってきています。
ある時から、どうやっても咬む力を支えることが出来なくなって、残った歯が急激に次から次にダメになっていく、これが、咬合崩壊の恐さです。
患者さんは、手遅れになってから、治療を望みます。
口腔内全体の治療説明をすると、どうしても治療費や治療期間など大変なことに気付きます。
咬合崩壊の治療は、患者さんの「治したい。もう一度おいしく食べたい。」と言う気力がないと無理です。
さて、最初の患者さんには、お口全体の治療をするかどうか尋ねました。理由を説明すると納得して同意してくれたのです。
その結果、治した状態が以下の写真です。
仮の治し方です。調子よかったので最終の治し方に順次変更していきました。
のちのちのことを考えて、最低限の歯牙切削ですませるように努力したつもりです。
最初に疼いた歯以外は、すべて神経は残しています。
保険診療なので、見た目はこれ以上は許して貰いました。
調子よく咬んでくれています。
みんなの患者さんがここまで望むかというと、そうではないことも判っています。
この方は、骨格の検査も顎機能の検査もして記録を残しています。歯科治療も、ここまで手間を掛けると赤字です。
咬合崩壊を少しでも食い止めたのかどうかは、今後の自己管理とメインテナンスにかかっています。
しかし、最初から痛かった部位には、ロウ孔が出来ました。残念・・・。力不足。
どうですか?咬合崩壊。
ほぼ、全部の歯が残っていても咬合崩壊は進んでいる人が幾らでもいます。
1本のカギとなる歯を、治療中断するだけで、10年後には、3本分の欠損になってしまうこともよく見かけます。
一体どこの時点で治療介入して行けば最良の結果が得られるかというと、早ければ早い方がいいに決まっています。
崩壊しないようにすることが一番です。
「かかりつけ歯科医」をもって、お手入れをしていくとともに、問題を最小限でくいとめることで健口な生活ができるのです。
歯科も、クオリティーオブライフに実はけっこう貢献しているのです。
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