Jinzenji Dental Clinic 秦泉寺歯科医院 TEL.088-825-2888 〒780-0021 高知県高知市中秦泉寺45-2F

加齢による変化
(中年期45~64歳)

歯周病

咬合力の弊害(DCS)

顎関節症

ウィークリンクセオリー

咬合崩壊

トップページ < 顎関節症

顎関節症

悩み 顎関節症という言葉は、最近ポピュラーになりました。
そしてこれから30年したら、50肩(ごじゅうがた)と同じくらいよく見る疾患になりそうです。

一般的に、関節の耐用年数は、50年くらいだと言われているそうです。

人生80年時代の現在では少し足りませんね。
・・・でも大丈夫。亡くなったご遺体の解剖の結果高齢者の顎関節では、ほとんどの方でかなりの異常が見つかったものの、生前に機能異常を訴えていた人は少なかったそうです。
大抵の人は、顎が動かなくなることはありません。

顎関節症、さて、一般の方へ向けて判り易く伝えるには・・・。
まずは、遠回りですが顎の関節の役目をわかってください。

人間は、二足歩行することで手を自由に使えだしました。その結果、脳は大きく発達し、社会を形成して地球上で優位に立って生活しています。
しかし、直立することで僅か2本の足で重たい上半身を支えなければならなくなりました。

直立した身体の中で、ぶら下っているのは、大きく下顎の骨と両腕だけです。
やじろべえの腕の錘がバランスをとっているように、身体からぶら下っている下顎と両腕は、体幹のバランスをとっている役目があります。
まず、これを覚えておいてください。

図1つづいて、下顎は、左図の緑で描かれた外則靭帯を含む、関節包で頭骸骨と強固に引っ付いています。
そして耳孔の下やや深いところの骨突起(茎状突起)や鼻道の咽頭側出口の外側にある骨突起(蝶形骨の大翼)から起こる蝶下顎靭帯の左右2対の靭帯で可動範囲の制限を受けています。
(茎状突起からは、舌骨にも靭帯が伸びています。)

靭帯は、伸びませんから下顎は頭の骨と2箇所の関節で引っ付き、4箇所の靭帯で吊るされたブランコのような存在です。

図2 また顎関節には、2種類の運動があります。

1.回転運動
全ての関節は一方向とは限りませんが、決まった方向に曲がることができます。
顎関節も蝶番(ちょうつがい)のように動いて口の開け閉めができます。これは、開口量0~10ミリ程度の範囲の運動です。

2.滑走運動
全身の関節の中で顎関節だけができる運動です。
下顎頭は、関節包という靭帯でできた包みの中で前方へ滑ることができます。このお陰で50ミリ近く口を開けることが可能なのです。
皆さんも耳の穴の前方に指をおいて口を大きく開けてみてください。どうですか、何か硬いものが前後に動いているのがわかるでしょう。
この顎関節、他の関節よりもずっと複雑に動くことができます。
自由度が大きい関節です。だから喋ることができるのです。

大雑把に言って、咬む筋肉(閉口筋)は下顎と頭蓋骨の間に付いています。
そして、口を開ける筋肉(開口筋)は、下顎と舌骨の間に付いています。

舌骨は、幾つかある開口筋の中継地点なのです。

咀嚼時に、舌顎は上下左右に動きますが、これは、開口筋と閉口筋が連携してリズミカルに運動しているのです。

図3 (顎関節は精密な関節で自由度も大きいのですが、それ故に壊れると人工顎関節は、なかなか作れないんじゃないかと予想しています。)

図のように、舌骨は肩甲骨と筋肉で繋がっています。

また、同様に鎖骨、胸骨、頭蓋骨とも筋肉で繋がっていて、咀嚼や嚥下、発語、姿勢の維持等に大きく関わっています。

つまり咬み合わせがずれると姿勢がずれるのです。


顎関節症を発症すると、皆さん悪いのは顎の関節だけだと感じると思いますが、実は顎関節は、咬み合わせにあわせてかなりの調節能力をもったバランサーなのです。
だから、症状は顎に出ていても原因は、姿勢だったり、歯の残り具合だったり、歯並びだったりといろんな原因が絡み合っていることがほとんどです。

もう一度いいます。下顎は、両腕とともに、身体のバランスを保つ補助をしています。
顎関節症の患者さんは、ほぼ間違いなく姿勢に異常が現れてきます。そして、顎だけ診ても十分じゃない人が沢山います。

この項の冒頭に、50肩くらい皆がよく見かける病気になると申し上げた訳は、関節に破綻がきやすいのは、華奢な体型をした人がかかり易いという意味です。

日本人のスタイルが、ずんぐりむっくりからスラっとし始めた現代、この世代が耐用年数の50年を過ぎた頃、顎関節症は歯医者を受診する主な原因のひとつになっていることでしょう。

そして、その治療はその患者さんの生活全般に潜む身体の不調和を正すという、歯科というより口腔科ともいうべき治療になっていくものだと感じています。

以上、顎関節の構造のひとつも書かずに、顎関節症を語ってしまいました。
顎関節症とは、そんな病気です。

レントゲン1 右の下顎頭と左のそれとが違う形をしているのが判りますか

まだ、14歳の女性です肩こり、頭痛、腰痛がありますが顎の症状は目だって何もありません


レントゲン2 上記の女の子
鼻を見ると鼻中隔が曲がっています
この写真では、顔が曲がっているようには見えませんが・・・
もちろん何の症状もなく、上の歯が出ているのを気にしていました

しかし・・・

次のレントゲン写真で見ると下顎のラインが2本あります
この写真は、耳の孔に器具を突っ込んで位置を決めて撮影していますので、この女の子の場合顎がずれているといえるでしょう。

上顎も、 ずれている可能性があります

この患者さんは身内なので早速CTを撮影しました
顎関節の状態を診て見たいと思ったからです

結果は、下顎頭が変形して殆どありません
靭帯に強く当たると骨は、吸収して形を変えてしまうのです

このまま歳をとっていくとどうなるんでしょう

この女の子はまだ成長期です、できる限り下顎頭が発育するように急いで歯列矯正をはじめました。
治療
現在治療中です。また、報告します。

上へ戻る

秦泉寺歯科医院 〒780-0021 高知市中秦泉寺45-2F / TEL. 088-825-2888

© 2010 Jinzenji-Detntal Clinic